三浦しをん「エレジーは流れない」概要・あらすじ
タイトル | エレジーは流れない |
著者 | 三浦しをん |
出版社 | 双葉社 |
装幀 | 田中久子 |
装画 | 嶽まいこ |
ページ数 | 全256ページ |
出版年 | 2021年4月 |
とある温泉地・餅湯。そこの寂れた商店街で暮らす高校生・怜。
ごく普通の高校生。母親と二人暮らし…でも、実は怜にはもう一人母親がいる。
月の第三週目はもう一人の母親と生活する。それが怜の日常。
それ以外はごくごく普通で、これといった悩みはない…が、
それが一番の悩み。
寂れた商店街で暮らす怜と、そのほか愉快な友人たちの日常。
「エレジーは流れない」感想〜三浦しをんさんの描く男子が好き
寂れた商店街✖️高校生の日常✖️三浦しをん。
面白くないわけがない。
怜はいたって普通な高校生だけれど、干物屋の幼馴染の竜人(りゅうじん)や
野生児の心平、絵を描くことが好きなマルちゃん、藤島旅館の跡取り息子など
ユニークな面々が勢揃い。
男子高校生の日常ってそれだけで面白いけど…と思ってしまう。
商店街の人々の人情味あふれる様子に、怜には理解しがたい母親たち。
親がちょうどわからない年頃。
悩み多き年頃。
何もないようで、楽しげな温泉街。
神輿を壊すお祭りに、嬉々として参加する竜人と心平に反して、できるだけ参加したくない怜とマルちゃんの対比。
突然現れた、怜の父親に「危機管理グループ」なるメッセージグループを作成する商店街の人々。
博物館の土器盗難事件を解決しようとする心平と竜人。
迷惑のかけあいが、だれかを生かし、だれかを幸せにすることだってありえる。
あつくるしくって、何もなくって、そんな町で起こる日常はいつも楽しい。
三浦しをんさんが描く、「日常」と「人間」が好きだなあと改めて思える一冊だった。
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理系研究女子のお話。三浦しをんさんのお仕事小説は定評があるが、こちらも理系の研究女子に恋する定食屋の男の子ということで、おもしろき。
その世界観も、人物像も、「愛なき世界」とは何か、というところも。
どういう展開かな〜と思っていたら、そっち!?みたいな展開もありで、私は好き。
女四人の生活というのも楽しそうである。