「なんで家族を続けるの?」を読んで…ロックの申し子・内田也哉子
内田也哉子さんへの興味が尽きない。
最初はやはり19歳にして、あの「もっくん」のハートを射止めた、という事実に興味があった。
19歳で結婚を決意する、ということ。
そして、人気絶頂の「もっくん」が「結婚したい」と思う相手ってどんな人…?と思いながら早20年。
樹木希林さんも好きだし、何かと話題に事欠かない内田裕也さんも気になる…。
也哉子さんが二十代の頃に出版したエッセイを以前読んだことがあるが、
迷いながらも芯のしっかりした女性の姿がそこにはあった。
もっくんとの馴れ初めエピソードもあり、也哉子さんへの関心は益々高まるばかり。
そして、本書。「なんで家族を続けるの?」は也哉子さんと脳科学者・中野信子さんとの対談をもとにしたもの。
也哉子さんも好きだけれど、中野信子さんにもすっかり興味が湧いてくる、満足のいく内容だった。
樹木希林さんが亡くなったとき、
あれこれと語られる奇抜なエピソードに私は
「樹木希林さんこそロックじゃん」と思ったものだが、
本書の冒頭にもそのように書かれていたから、きっとみんなが思うのだろう。
破天荒そうに見える内田裕也さんを、「見える」と感じさせてしまうほどに
うまく操っているように私たちには見えた樹木希林という女優の偉大さ。
実際にはやはり破天荒だった二人のもとに生まれた也哉子さんは、子供の頃
相当悩まれていた様子。
そして、今、三人の大きくなられたお子さんと俳優・本木雅弘との家族。
そこにもまた也哉子さんが悩みながら家族との生活を続けていることが窺える。
人間、自分自身に「これだ」「正解だ」と言い切れることってないんだなと思う。
「夫が理解できない」と言える也哉子さんの方が私は素敵だと思う。
「なんで家族を続けるの?」を読んで考える、夫婦のこと・家族のこと
中野さんは中野さんで自分を理解してくれない両親のもとに育ち、
苦しんでいた幼少時代。
破天荒な親だけでなく、自分とは考え方や価値観の違う親との違和感、
苦しみ、そういったものがなくても、
夫婦間に対する小さいものから大きいものまで理解できないことのある、
取るに足らないような悩みでも
さまざまなケースがあり、
いろんな解決方法、アプローチの仕方があると教えてくれる。
大なり小なりそれぞれに悩みがあり、
奇抜と見える夫婦や家族の形であっても、実は「なんでもあり」と言ってくれるその言葉は偉大だなあと思う。
中野信子さんという人の発想は、
突拍子もないものに思えるけれど、
その言葉はきちんと常識を理解した上での言葉で、
形式や世間の通念も理解しそれに抗うことがいかに労力が必要であることかも
理解した上での行動があり、
大変、興味深かった。
そんな彼女の著書をもっと読みたいと思った。