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【読書記録】町田そのこ/「あなたはここにいなくとも」短編集/感想・あらすじ・概要

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【読書記録】町田そのこ/「あなたはここにいなくとも」短編集/感想・あらすじ・概要

「あなたはここにいなくとも」

町田そのこ「あなたはここにいなくとも」概要・あらすじ

タイトルあなたはここにいなくとも
作者町田そのこ
出版社新潮社
出版年2023年3月
ジャンル短編集(5つ)
装画・挿画水上多摩江
ページ数全252ページ
「あなたはここにいなくとも」概要
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おつやのよる

主人公は、自分の「実家」の人間たちが苦手だった。

「周り」とは少し「違って」いるから。

それが恥ずかしくて、恋人を実家に連れて行くこともできずにいる。

おばあちゃんのことは大好きだが、おばあちゃんにも恋人を紹介できずにいる。

そんな中、大好きなおばあちゃんが亡くなってしまった…。

お通夜の場で、改めて感じる。自分の親族たちが「恥ずかしい」と…

けれど…。

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ばばあのマーチ

主人公は、職場でいじめにあい、それから人と関わることが苦手になった。

数年付き合っている恋人からは「きちんと」するように言われている。

恋人との関係にもどこか疑問を持ちながら、その「違和感」をうまく表せないでいる。

近所に、毎日、一定時間、庭で食器などを並べてメチャクチャに演奏する

オーケストラばばあ」がいる。

その存在を不思議がりながら、なぜかある時どうしても目が離せず、

立ち止まって見入っていると…。

入道雲が生まれるころ

一定期間を経ると、人間関係をリセットしてしまいたくなる衝動に駆られ、

実際、それを数年単位で繰り返してきた主人公。

ある日、実家の近くに住んでいたおばあさんが亡くなり、

親戚だと思っていたら、その人は親戚でなかったことが判明する。

数年ぶりに実家に帰り、すっかり変わってしまった妹と話しながら、

そのお婆さんの昔を思い返し、その人の過去を覗き見ていると…。

くろい穴

主人公は、愛人から栗の渋皮煮を作って欲しいと頼まれ、

休日を一日かけて丁寧に作っていく。

それはおばあちゃんから教えられたレシピ。

そして、そのお願いは他でもない、愛人の妻からの「お願い」であった。

その真意を読み取れないまま、

丁寧に丁寧に作られていく、渋皮煮。果たして…

先を生くひと

主人公には同い年の幼馴染がいる。

ずっと一緒にいたが、最近、その幼馴染の行動がおかしい。

きっと「恋人」ができたに違いない。

そこで、主人公は自分の気持ちに気が付く。

そんなの嫌だ!と思った主人公は幼馴染の後をつけることにする。

そこで出会ったのは大きなお屋敷に住む「死神ばあさん」と呼ばれるおばあさんだった。

町田そのこ「あなたはここにいなくとも」感想

5つの短編、それぞれに「おばあちゃん」が出てくる。

おばあちゃん、いや時々、彼女たちは「ばばあ」なんて呼ばれながら

登場する。

そこには愛情のこもった「ばばあ」もあれば、蔑みの意味が込められたものもある。

ただ、蔑みのものには、知れば知るほど、それはただの「偏見」であることがわかる。

普通の自分の「おばあちゃん」もいれば、近所の「変わったおばあさん」も登場する。

周りとちょっと違う、とか。

結婚していない、だとか。

一人で住んでいる、だとか。

子どもがいない、だとか。

自分自身を振り返ってみても、子供の頃、いや、もしかすると今でも、

ちょっと目についたおばあちゃんを「変わった人」とか認定して遠巻きに見ていることが

あるかも知れない。

でも、おばあちゃんたちはその年の数だけたくさんのことを経験し、

その人生でいろんなことを学び、自分が今悩んていることはすでに経験していて

その答えをもう見つけているかも知れないのだ。

そんな当たり前のことを、一つずつ教えてくれる、

そんな短編集だった。

「見かけで人を判断しないようにしたい」と思いながら、

いつまでもそれができずにいる自分に嫌気がさす。

町田そのこさんの作品は一回一回、そうしたことを思い出させてくれる。

そして、美味しそうなご飯がよく出てくるのだが、

今回も美味しそうな食べ物が登場する短編集があった。

「くろい穴」に出てくる栗の渋皮煮は、私には到底無理だ…と思う、気の遠くなるような

工程を含めてすごく美味しそうに感じられる。

その工程こそが、この物語の肝であり、心に残る内容となっている。

hontoなら紙でも電子でもお好みで読める!

町田そのこその他おすすめ作品

本屋大賞をとった「52ヘルツのクジラたち」はまず読んでおきたい作品!

個人的には町田そのこさんの作品の中で一番好きなのは、デビュー作である、この「夜空に泳ぐチョコレートグラミー」である。

連作短編が好きなんだな、私。連作の絡め方も、内容も全部好き。

「夜空に泳ぐチョコレートグラミー」感想

私の中で「認知症」というものの捉え方について、目から鱗の体験だったこちらもオススメ。

「星を掬う」感想

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