タイトル | 正欲 |
作者 | 朝井リョウ |
出版社 | 新潮文庫 |
ページ数 | 全512ページ(解説含む) |
平成から令和へと年号が変わる頃。
人々は「多様性」の中で生きている。
結婚しない価値観、男性同士、女性同士、子どもを産む・産まない…
「多様性」を認めて生きていく。
でも、それって自分の想像がつく範囲の中の、
認められるだけの「多様性」でしょ?
息子が不登校であることを認められない検事・寺井啓喜。
人と馴染めずにいる寝具店で働く夏月。
「多様性」をテーマにした学園祭作りに奮闘する八重子。
ある事件の裏に隠された「多様性」とは…
朝井リョウ「正欲」感想
率直に言って…
この本はまず、「?」から始まる。
そして次に不快感。
そして読み進めるごとに、「多様性」というものが何かわからなくなってくる。
自分が一生懸命、時代と共にアップデートしようとしてきた「多様性」が
足元からドンガラガッシャーンと崩れ落ちていくようだ。
これが事実かどうかはわからない。
事実かどうかが重要なのでもないきがする。
世の中には自分が見てきたもの、想像のつくもの、それを超える「多様性」が
存在するかもしれない、そう思うべきこと。
そこが重要なのではないだろうか。
それは、わかる。それはわかるけれど…他に書きようがないのか、とも言いたくなるほどに
私には衝撃的だった。
これまでの「多様性」を受け入れようね、と訴えている読書が生ぬるく感じるぐらいに。
それぐらいの方が刺激が少なくて、のほホーンとしていて心臓にはいいのだけれど…
私、もう少し年取ったら、これを読み切る自信がなかったかもしれない。
朝井リョウさんの本はいつも、心臓に悪い。
「ほらほら、生ぬるいこと言ってないで、現実を見ろよ!!!」と
言われているような気持ちになる。
でも、時々、そう言ってくれる人が必要になるのも、
事実なのだ。
朝井リョウその他おすすめ作品
意外と読んでないな…。一つ一つが衝撃的でなんだか自分が隠したい部分をあらわにされるので、
ちょっと間を空けないと読む気になれない…それが私にとっての朝井リョウ。
hontoなら紙も電子もお好みで選べる2023年秋・映画公開予定
吾郎ちゃんが、なかなか「多様性」を認められない検事役。
ガッキーが桐川夏月。
桐川夏月と共に秘密を抱える佐々木を磯村勇斗。
どんなふうに切り取って、どんな風に夏月をガッキーが演じるのか、
観てみたい気もする。
私的にはかなりチャレンジャーじゃないか、とも思うが、
芯の強さでいうとわからなくもない。