D.P.~脱走兵追跡官〜あらすじ・概略
タイトル | D.P. ~脱走兵追跡官〜 |
配信 | Netflix |
キャスト | チョン・ヘイン(アン・ジュンホ)、ク・ギョファン(ハン・ホヨル)、 キム・ソンギュン(ボムク中士)、ソン・ソック(ジソプ大尉) |
話数 | 全6話 |
監督 | ハン・ジュニ |
原作 | キム・ボトン(「D.P. 犬の日) |
ジャンル | 社会派 |
アン・ジュンホは入隊し、脱走追跡官、通称D.P.に配属される。
D.P.は通常の任務とは外れて、軍隊から脱走した兵士たちを
「逮捕」しに行き、軍に連れ戻す役目を果たす。
軍から脱走する兵士たちは、それぞれ様々な理由を抱えている。
ただ嫌になって逃げ出すものもいれば、隊内のいじめに耐えかねて
逃げ出したものもいる。
脱走兵追跡という重いテーマをきちんと受け止める。
軍隊✖️チョン・ヘイン、という前触れで、何やらチョンヘインが
痛めつけられるような、さぞや辛い目に遭っているのだろうと思い、
観るのを避けていた。
ソン・ソックも出ている、と知って、やっぱり観てみようか、と観てみると、
それはただ暴力シーンのあるだけとは違う、哀愁・人間味のある社会派のドラマだった。
チョン・ヘインの魅力
チョン・ヘインといえば、苦労の多い、暗い過去を背負った役柄が多いイメージがある。
綺麗な顔立ちなのに、何かしらいつも何かに耐えているように思う。
一見そだちの良さそうな雰囲気なのに、刑務所にいたり、前科があったり、
両親がいなくて苦労をしていたり、と「ああ、切ない」と胸が苦しくなってしまう。
これが恋愛ものならば、同情して、共感して…と感情移入できるのだが、
軍隊ものとあれば、私に共感することは無理だろう、と避けていた。
チョン・ヘイン演じるアン・ジュンホはやはり、何か暗いものを背負っている。
#3で脱走兵の恋人が言うのだ。「あなた、顔に翳りがあるわ」と。
そう、その通りなのだ。
可愛い顔立ちなのに、チョン・ヘインには翳りがあるのだ。
チョン・ヘイン演じるアン・ジュンホは父親の暴力に幼い頃から耐えてきた。
それに対抗するためにボクシングも身につけている。暴力を受け続けてきた母親を
可哀想だと思う反面、どうして逃げないのかと複雑な感情も抱いている。
アン・ジュンホは聡明で、独自の観察眼を持っていて、その観察眼を買われて
D.P.に配属される。その賢さがあるのに、大学に行っていないのは家庭の事情が大きいに違いない。
優しさと、正義感のある青年。
脱走兵をその聡明さで捕まえていくが、
そこにある根本的な問題に耐え難くなっていく。
アン・ジュンホのバディ役/ハン・ホヨルを演じるク・ギョファンの魅力
D.P.は二人ひと組で行動する。
アン・ジュンホのバディ役ハン・ホヨルは、軽妙な話し方に
ちょっと斜めな態度、何でもそつなくこなし、器用に立ち回るやつ。
これを演じるのは、俳優ク・ギョファン。
彼を初めて観たのは「ウヨンウ弁護士は天才肌」の第9話ハーメルンの笛吹き男だ。
彼の存在感は独特だ。突拍子もないことを言って、子どもたちを事件に巻き込んだが、
彼の言うセリフはふざけていても、どうしてかそこに真実味があって
心に訴えかけるものがある。
決して男前とはいない雰囲気。でも、引き込まれる魅力。
万が一詐欺師にでもなったなら、完全に騙されてしまいそうだ。
カリスマ性とも違う、ふざけたことを言っているなーとも思うのに、
そのセリフに重みがある。軽く見えるのに、軽くない。
軽さと重さが、絶妙に混在している。不思議な魅力だ。
彼もまた、何か抱えているものがあるのかもしれない。
シーズン2でそれが描かれるかもしれない、と期待している。
彼の軽妙な空気感と信頼のできる態度が、この重いテーマの中に安心感を与えてくれる。
ク・ギョファン、ネクストブレイク俳優だとか何とか。期待大。ソン・ソックの役どころ
「D.P.」でのソン・ソックは大尉という役どころ。
軍隊の序列がわからないのだが、
アン・ジュンホたちの直属の上司がパク・ボムクで、その上なのか横なのか
中間管理職的な立場のよう。
パク・ボムクにいちいちマウントを取ってきたり、邪魔はしないまでも、
上と下を見ながら立ち回っている。
飄々としているようで、考えていることはあって、悪い奴でもないが
いいやつとも言い切れない。
パク・ボムクは気難しいながらも、部下のことを考えている様子。
シーズン1のラストにて、二人とも左遷されていたようだが、
ソンソックのインスタグラムにてシーズン2にも出演済みであることは伺える。
シーズン2にて二人がどんなふうに戻ってくるのか、楽しみである。
わかるところわからないところ
知識もなくて、韓国の軍隊のことはわからないところがやはり多かった。
軍隊から脱走するのは、その中でのいじめが原因とすることが少なからずあるようだ。
中には家庭の事情で、軍隊を抜け出してエピソードもあり、人情味のあるエピソードとして描かれていたが、
いじめが原因のものは目を背けたくなるようなものだった。
訓練が嫌で抜け出した人については、捕まえればいいだけだが、
「いじめ」を苦にして逃げ出し、自殺した人や、逃げ出して復讐を企んでいる人の
「どうして自分が罰を受けなければいけないのか」というセリフが心に迫る。
日本には軍隊はない。
その辛さや、その問題が意味することを本当の意味で受け止めることは難しい。
けれども、変わらない組織の問題や、なくならないイジメという問題においては、
その社会においても通じることがあるようにも思う。
だから、このドラマが全世界に受け入れられたんだろう。
人気が出るドラマというのは、大きな意味があるわけで、
何となくの思い込みで、見過ごすべきではないな、と痛感。
シーズン1のラストシーン。
アン・ジュンホは隊列の進行方向と反対方向へと進んでいく。
いじめを苦にして脱走した兵士の命を守ることができなかったこと。
それを受けても何も変わることのない組織。
「何も変わらない」と涙を流す兵士。
シーズン2でどのような展開と結論を見せてくれるのか。