チョンドヨンとリュジュンヨルが共演するドラマ「LOST 人間失格」
どの作品で見てもリュジュンヨルの演技が素晴らしく、引き込まれてやまない。
そんな彼の魅力がまた遺憾無く発揮されている。
相関図、キャスト紹介そして感想を綴ります。
しっとりと人間、男女、人生を魅せるドラマです。
韓国ドラマ「LOST 人間失格」あらすじ＆概要
「むなしい」そんな思いを抱えて生きる人々へ。
イ・ブジョン（チョンドヨン）は出版社に勤めていたが、今は家事代行サービスをしている。
イ・ガンジェ（リュ・ジュンヨル）は友人や恋人、なんでも役割代行を勤める仕事をしている。
ある日、ガンジェの友人が遺体で発見されその身元引き取り人となる。
彼に一体何があったのか気になり始めるガンジェ。
一方、ブジョンには大手デパートで働く夫（パクビョンウン）がいるが、関係は１年前から冷え切っていて、自身が抱える問題も
言えずにいる。ブジョンの拠り所は、年老いた父親（パクイナン）のみ。
ガンジェが父親と同じマンションに住んでいることは知っていたが、互いにすれ違うのみ。
ガンジェはブジョンの存在すら知らなかった。
しかし、父親の前で泣き崩れるブジョンを見てから彼女が気になるようになる。
| タイトル | 「LOST 人間失格」 |
| 監督 | ホ・ジノ（「4月の雪」 |
| 脚本 | キム・ジヘ |
| 放送局 | JTBC |
| キャスト | チョン・ドヨン、リュ・ジュンヨル、 パク・イナン、パク・ビョンウンほか |
| 話数 | 全16話 |
| ジャンル | ヒューマン、ラブストーリー |
| 配信 | プライムビデオ、Huluほか |
韓国ドラマ「LOST 人間失格」相関図
ネタバレにご注意ください
韓国ドラマ「LOST 人間失格」キャスト＆登場人物紹介
「登場人物紹介」にはかなりの主観と感想が入ります。ネタバレにご注意ください。
イ・ブジョン／チョンドヨン
元出版社勤務。
しかし、ある事件がきっかけで出版社を辞める。
辞めたことを家族に言えず、家事代行サービスをしている。
女優のチョンアランについてネットで中傷コメントを書き込み、訴えられている。
1年前に流産、そして夫が浮気。うつ病を患っていた。
【チョンドヨンその他出演作品】「イルタスキャンダル」「キルボクスン」ほか
「イルタスキャンダル」、「キルボクスン」と見て、きっと彼女はすごいんだろうな〜〜〜〜ぐらいの
感想しか持っていなかったが、今回まさに彼女の真髄を見た！と感じた。
彼女の凄さってこれですか？
イ・ガンジェ／リュジュンヨル
役割代行サービスを生業とする。家族、友人、恋人…どんな役割も完璧にこなす。
元ホスト。
貧しい生い立ちから、お金に執着しお金を稼ぐことに必死になってきた。
ある程度、良い生活をしているが、元ホストの先輩が突然死に、その身元引受人になったことから、
無性に「虚しさ」を覚えるようになった。
そんな時、ブジョンが父親の胸で泣く姿を見て、彼女のことが気になり始める。
【リュジュンヨルその他出演作品】「恋のスケッチ〜応答せよ1988」「毒戦」「THE8SHOW」ほか
正直、イケメンじゃないのよ。（個人の感想です）でも、妙に惹かれる色気を振り撒く…という設定。
だけど、「本当にその通りね！」と言いたくなる。
長い前髪をかき上げて、アンニュイな雰囲気で…そりゃあ恋人代行も完璧にこなすよね、みたいな登場。
最初は冷たい人なのかな？と思ったら全然そんなことはなく…染み入るような優しさを出してくる。
チン・ジョンス／パクビョンウン
ブジョンの夫。デパート勤務。
母一人で育てられる。
真面目で誠実ではあるものの、どこか鈍感で細かいところに気が付かない。
基本的には優しいが、余計なひと言を言ってしまいがち。
１年前に浮気をしてから、妻との関係はずっとギクシャクしている。
ギョンウン／キムヒョジン
ジョンスの元恋人。学生時代から10年以上付き合っていたが、別の人と結婚。
夫が長く闘病生活を続けている。
集中治療室にいる夫の元に、毎日通う日々を続けている。
その合間に、ジョンスのところに顔を見せるようになった。
【キムヒョジンその他出演作品】「無人島のディーバ」ほか
イ・チャンスク／パク・イナン
ブジョンの父親。男手一つでブジョンを育て大学まで行かせる。
今はブジョンが元々住んでいたマンションに住んでいる。
日々、段ボールを集めて古紙回収交換をしている。優しくて、実直で公平な人。
【パクイナンさんその他出演作品】「ナビレラ」「EXIT」ほか
パクイナンさんが出てくるだけで泣けちゃう。
このブジョンのお父さんは本当に優しくて優しくて…。
ブジョンの最後に父親を語るときに「父には学問がなくても、彼の中には文学があるんです」という言葉がまさにその通りで、
考えて考えて考えた末に言葉を発する慎重さ、誰も傷つけまいとする彼の優しさに
一つ一つの言葉に泣きそうになる。
私の父親は似ても似つかない人だったけれど、でも「理想の父親像」を全て詰め込んだかのような
このブジョンアボジにどうしても父親を思い出してしまう。
小さな、一つ一つの父親から受けたであろう愛情を心の奥に思い返す。
彼が亡くなる時に、ブジョン夫（パクビョンウン）も本気で涙を流す。それはひとえに
ただ純粋にそこにチャンスク（パクイナン）への愛情が存在するからだろう。
ポン・ミンジャ／シンシネ
ジョンスの母親。女手一つでジョンスを育てる。
チャンスク（パクイナン）に対して慎重さに欠けていて（ジョンスはやっぱり母親に似ているんじゃあ…）
余計なひと言を言いがち。
見栄っ張りでかまってもらいたがりで、自分に懐いてこない嫁（ブジョン）に腹を立てている。
が、無神経で優しさがないかと言ったらそうでもなく、実は愛情深い人。
ジョンスの気が利かないところも、足りないところもわかっており、嫁に対して同情する気持ちもある。
チョン・アラン／パクジヨン
自叙伝一作目が売れて、人気が出てきた女優。
自叙伝二作目を刊行したばかり。
ブジョンに中傷コメントを書かれて腹を立て、訴えている。
が、実は自叙伝の一作目から、ブジョンにゴーストライターとして書かせていた。
夫とは別居しているが表向きはおしどり夫婦として有名。
【パクジヨンその他出演作品】「赤い袖先」「となりのMr.パーフェクト」ほか
タギ（イ・スンジュ）／ユ・スビン
ガンジェの幼馴染。亡くなった先輩、ジョンウの引き取りを一緒にガンジェと行く。
葬式も出してあげよう、と申し出る優しさ100パーセントの人。
大学生で公務員試験を目指している。
ネットカフェでバイトをする。
ガンジェにとっても「ソウルメイト」いや「聖域」で汚したくない、汚されたくない存在。
ガンジェの友人、ミンジョンに好意を寄せている。
【ユスビンその他出演作品】「愛の不時着」「スタートアアップ」ほか
タギ（ユスビン）は可愛いよね…。ガンジェが大切に思うのも頷ける存在。
カン・ミンジョン（ソンナウン）
元アイドル練習生。ガンジェのビジネスパートナーで、役割代行の必要な時に互いに
頼っている。
女ガンジェの名に相応しく、勘が鋭く機転が効く。
おそらく過去にそれなりに苦労があったようで、今はネットカフェで生活している。
ガンジェに好意があったのかなかったのか、でも互いにに過ぎていて牽制し合っているような
雰囲気。
イ・スンギュ／チョウンジ
タギ（ユスビン）の姉。薬剤師。
薬局の大家さんはジョンスの母で、ジョンス母はよく薬局で時間を潰しているが、嫌な顔せずに相手をしている。
しっかり者で、タギの親代わりだと自負している。
得体の知れない仕事をするガンジェを怪しく思っている。
ウナム／ヤン・ドングン
スンギュの家に住んでいるが関係は不明。（結婚はしていない）
看護師をしており、病室にはギョンウン（キムヒョンジュ）の夫がいる。
愛想がよく優しいが、スンギュとの関係は曖昧。
ソ・ジョンフン／リュジフン
ガンジェが昔ホストとして働いていたクラブの経営者。チョンアランから援助を受けている。
チョンアランに忠実で、チョンアランから支持を受けて、ブジョンの身の回りを調べている。
チョン・ミソン／カン・ジウン
ガンジェの母親。
ガンジェが高校生の頃に夫をなくす。
現在は半地下の家で、夫の元介護士であるジャンギュと暮らす。
苦しい生活の中からガンジェに毎月生活費を仕送りしている。
ガンジェを心配し慈しむ様子がその眼差しからわかる。
ジャンギュ／イソファン
ガンジェの父親の介護士だった。その後、ガンジェの母親と内縁の関係になり、今は一緒に暮らす。
ソ・ジンソプ／オグァンノク
チョンアランの夫であり、俳優。
現在は別居し、女優パクジナの元で暮らす。
パクジナ／イ・セナ
若手の女優。現在、ブジョンが家事代行に通っている家で暮らしている。
ジンソプからDVを受けている。
チョン・ジョンウ／ナヒョヌ
死んだガンジェの元同僚。身元引受人がおらず、ガンジェの元に身元引受の依頼がくる。
湖に自殺サイトで知り合った人と一緒に身を沈めた。
亡くなる前、たくさんの人にお金を借りて回っていた。ガンジェもその一人で亡くなる前からずっとお金を
返して欲しいと連絡していたが、音信不通だった。
実はそのお金は全部、病気の子どもへの治療費だったが、子どもは亡くなってしまい、自殺。
ブジョンとジョンウ、そして病気の子どもの母親も同じサイトで知り合っていた。
韓国ドラマ「LOST 人間失格」感想〜しっとりとした恋愛物語
「八月のクリスマス」「4月の雪」のホ・ジノ監督。
あまり説明がなく、なんとなく主人公（チョンドヨン）は人生に絶望しているらしい…という様子で始まる。
自殺、虚しい、生きる希望がないというこばで始まり、じっとりねっとりしている。
実際に主人公の身に何が起きたのかもはっきりとは説明されない。
一方でリュジュンヨルが演じるガンジェ側も、先輩が突然死んで、何が何やらわからないが、
人生ってあっけないんだな。虚しいよな。人の命って、生きるってなんだろう…
みたいな空気感になっている。
そんな時に二人は出会う。というか、一方的にガンジェが発見する。
ガンジェ（リュジュンヨル）とブジョンの父親（パクイナン）は同じマンションに住んでおり、
ブジョンたちは彼を認識していたが、ガンジェは彼らを認識していなかった。
見ていても、その顔をきちんと見ていなかったのだろう。
しかし、バス停でブジョンが父親の胸で涙を流しながら吐露する様子に、心惹かれてしまうのだ。
40歳になったら私はもっと「何か」になると思っていた。私、何にもなれなかった…と。
このセリフはのちに、発見されるブジョンの遺書にも書かれている。
ブジョン（チョンドヨン）は自分が、チョンアランに追い込まれ、流産し、絶望して、死を選ぼうとしたこと、
中傷コメントを書き続けていることなどを家族にも言えずにいた。
もちろん、父親に言えるはずもない。
そんな彼女の涙ながらの言葉に心惹かれてガンジェはブジョンに興味を持ち始める。
直接的な言葉もなく、スキンシップも少ない恋愛
二人が徐々に目線を交わし、惹かれあっているのは感じられるが、それが恋愛感情なのか
はっきりとしたセリフはない。
けれど、ガンジェ（リュジュンヨル）の徐々に熱を帯びていく目線や、ブジョン（チョンドヨン）に会うと
嬉しそうな表情になる、とか過剰なスキンシップがなくてもきちんと伝わる熱量。
二人でテントの中で過ごした夜が最高潮にドキドキした。
グッと近づき、すっと離れる。
とはいえ、ブジョンはあくまでも人妻であり、一体どうなるんだろう…二人は何の口約束も交わさないし、
将来や気持ちについて互いに確かめたりもしない。
どうするの？どうするつもりなの？と余計にそれがドキドキさせる。
人間とは。男女とは。
中傷コメントを書き込んでいる、というところから始まって、一体どんな主人公なんだろう…と
思うが、それをされるチョンアランは相当に悪かったりもする。
が、チョンアランはチョンアランで追い詰められた人生でもあったりする。
出てくる人たち、みんな真っ当な恋愛をしていなかったりする。
アランはアランで、クラブ経営をするジョンフンの気持ちを利用しているし、
ジョンフンも嫌なやつかと思えば、結構純粋にアランを思っているのでは…と思わせたりと
みんな二面性がある。
タギのお姉ちゃんたちも実は不倫だったり、ガンジェの母親も内縁の関係だったり、
ブジョンの夫も結局は初恋が忘れられずにいる。
ブジョン夫婦は互いに優しくできる関係ではあっても、結局「好き」ではないのだ、と
最後に告白し合う。
そんな中で、ブジョンのお父さん（パクイナン）だけは、誰からも責められることのない人生を送っている。
ブジョンが購入したマンションの金額をしり、何もお金を稼がずに生活することが苦しく、
ソウルでできる唯一のこと（ダンボール集め）をする彼。
誰に驕ることもなく、偉そうにもせず、皆に優しく、ただ真面目に
人に迷惑をかけないように、娘の幸せを一心に願い続ける日々。
ブジョンが言う、「お父さんが生き方を示してくれた」とはその通りで、
「何ものになるかが大切なのではない。どう生きるかなのだ。」と。
その生き方を示してくれたのがパクイナンさんで本当に良かったと思う。
