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【読書記録】津村記久子「水車小屋のネネ」感想

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【読書記録】津村記久子「水車小屋のネネ」感想

「水車小屋のネネ」感想

2024年本屋大賞2位の話題作!

「水車小屋のネネ」について、あらすじ紹介と感想を述べます。

津村記久子「水車小屋のネネ」あらすじ&概要

18歳の理佐は、短大に入学するつもりだったお金が母親に勝手に使われ、

母親と最近暮らし始めた男の人の存在にも納得がいかず、家を出ることを決意する。

その際、8歳の妹・律が、母親の恋人から不遜な扱いを受けていることを知り、

一緒に来る?と誘う。

こうして二人は、今まで暮らしていた町から離れた場所に、住み込みの仕事を見つけ、そこで

暮らすことになった。

その、姉が見つけてきた仕事とは、蕎麦屋の手伝いと、その隣の水車小屋で暮らすヨウムの世話をすることだった。

タイトル「水車小屋のネネ」
作者津村記久子
出版社毎日新聞出版
発行年2023年
ページ数全485ページ(あとがき含む)
装幀中嶋香織
イラスト北澤平祐

津村記久子「水車小屋のネネ」登場人物

山下理佐

18歳。妹の律を連れて、蕎麦屋に住み込みで働き始める。

蕎麦屋の手伝いと、水車小屋のヨウム(ネネ)の世話をすることが仕事内容。

山下律

8歳。しっかりしていて、本を読むことが好き。

母親の恋人に、不当な扱いを受けていた。

姉・理佐と一緒に生活することを選ぶ。

石田浪子

蕎麦屋の女将さん。

鳥アレルギーでネネの世話をすることができない。

石田守

蕎麦屋の店主。ひきたてのの蕎麦粉を使ってそばを打つことにこだわっている。

無口だけど優しい店主。

ネネ

蕎麦粉を水車小屋の動力を使って臼を動かしているのを、空引きしないように見張っている。

歌うことが好き。

藤沢静子先生

律の小学校の担任。メガネをかけていて、物静か。

18歳の理佐が保護者であることを、ちょっと心配する。

榊原寛実

律の小学校のお友達。父と二人暮らし。ピアノを習っている。

川村杉子

画家で、水車小屋によくきている。

鮫渕聡

理佐が28歳、律が18歳の時に町にやってきた青年。

笹原研司

律が28歳の時に偶然出会った中学生。

津村記久子「水車小屋のネネ」感想

「誰かに親切にしなきゃ、人生は長く退屈なものですよ」

本文より

「水車小屋のネネ」は18歳と8歳の姉妹が二人だけの生活を、縁もゆかりもない知らない町で暮らし始めるところから始まる。

姉、理佐が見つけてきた仕事は、蕎麦屋の給仕と「鳥の世話じゃっかん」。

その鳥が、ヨウムのネネだ。

ネネは、人の話すことを真似しているだけのようにも見えるし、状況に応じて「話して」いるようにも見える。

賢くて、寿命が長い。

18歳だった少女は、周りに支えられながら、なんとか妹を18歳、高校卒業まで育て上げる。

周りに支えられながら、と言っても周りにいる人々は、どちらかと言うと、熱烈な支援をするわけではない。

金銭面や生活面を手取り足取り援助して、姉妹の生活にあれやこれやと介入して…なんてことはない。

けれども、その時々、姉妹が生きていけるように、言葉を選んで助けている。

それは、簡単なようで簡単じゃないことを、姉妹たちは徐々に知っていく。

この知らない町での生活は、10年、20年と続いていき、彼女たちはやがて助ける側へと成長する。

先にも述べた通り、その誰もが、そしてどれもが、手厚くて熱量のある「手助け」ではない。

けれども、その時々、それぞれができうる限りの支援を選び、生きていく。

そういう人間に、私もなれたら…

「誰かに親切にしなきゃ、人生は長く退屈なものですよ」そんなふうに言える人間になれたらな、と

思う。そう、「親切」でいいのだ。誰かを「救う」まで行かなくても、その時々「親切に」できる人間になりたい。

優しくて、川が流れていくように、そっと寄り添うような物語。

これを毎日少しずつ読めていた、毎日新聞っていいなあと思う。

 

 

 

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