「天気がよければ会いにゆきます」概要・あらすじ
「天気がよければ会いにゆきます」概要
ソウルでチェロ講師をしていたモク・へウォン(パク・ミニョン)だったが、
都会の生活に疲れて、高校生の頃に暮らしていた祖母の町に帰ってくる。
元々祖母が営んでいた「クルミハウス」というペンションには、叔母が一人で住んでいる。
その近くでは、高校時代の同級生であるイム・ウンソプ(ソ・ガンジュン)が書房を開いていた。
久しぶりの同級生との再会や、変わり者の叔母との暮らし。
へウォンが転校生としてやってきた高校時代。
へウォンの秘密。
そして、ウンソプの苦悩。
静かに、降り積もる雪のように、重ねられていく物語。
「天気がよければ会いにゆきます」キャスト・相関図
モク・へウォン(パク・ミニョン)
ソウルでチェロ講師として働いていたが、職場で色々とうまくいかずに
辞めて、高校時代に暮らしていた町にやってきた。
祖母と叔母と暮らしていた町。
祖母が営んでいた「クルミハウス」というペンション。
高校時代、母親が父親を殺害した容疑で捕まり、転校してくることになった。
ある日、親友にだけ話したその事実を、他の人にバラされて、高校時代は壮絶ないじめを受ける。
パク・ミニョンといえば、私の中ではその小動物のような顔立ちにキビキビとした動きで、
明るい前向きなイメージが強かったのだが、
この冬の寒い地域に降り立った彼女は、キビキビ動き、生き生きとした表情もあるものの、
どこか物憂げな、悲しげな表情もしていて、こういうパク・ミニョンもありだなと
思わせてくれる。
とにかく厚着をしているパク・ミニョンも可愛い。
イム・ウンソプ(ソ・ガンジュン)
「クルミハウス」の隣で「グッドナイト」書房を営んでいる。
高校時代からずっとへウォンが好きだったが、それを隠している。
山に詳しく、時々裏山に行ったりしていて、誰かが山で遭難すると必ず助けを要請されるが
それをいつも母親に叱られている。
優しく穏やかな性格。
初めて見たのだが、静かな優しい眼差しで、どこか一匹狼感のある彼、よかった。
へウォンにずっと片思いしているのに、自分の生い立ちもあり、それを必死に隠そうとするところも
可愛い。
イ・ジャンウ(イ・ジェウク)
ウンソプとへウォンの高校時代の同級生。ウンソプと仲が良い。
高校時代、成績がトップでソウル大を出ている。市役所で働き、
故郷の町に貢献したい、といつも言っている。
「還魂」で好きになった彼が脇役で出ていて、期待していなかったところの登場に
胸が弾んだ。
成績トップだが、同級生にずっと片思いしている純粋なイジェウクがまた可愛い。
コミカルな演技がまた良い。
シム・ミョンジュ(チン・ヒギョン)
へウォンの母親。
夫から度重なる暴力を受けていて、ずっとサングラスをかけていた。
夫を殺して、殺人の罪で服役していた。
出所してからは年に1回しかへウォンと会っていない。
故郷の街では美人だが変わり者と言われていた。
このお母さん、どこかで見たことあるなと思ったら、「悲しき恋歌」の「叔母さん」じゃん。
という嬉しい発見。
シム・ミョンヨ(ムン・ジョンヒ)
へウォンの叔母。ミョンジュの妹に当たる。
小説家をしていたが、ミョンジュの事件があってから、へウォンの保護者となり、
故郷の街に一緒に住んでいた。
へウォンがソウルに行ってからは一人で「クルミハウスを」を切り盛りしてきたが、
民宿は閉めてしまった。
いつもサングラスをしていて、傍若無人な態度をとることが多い。
キム・ボヨン(イム・セミ)
高校時代のへウォンの親友。
へウォンの秘密を漏らしたことで、ヘウォンとは仲違いしてしまったが、
仲直りをしたいと思っている。
ウンソプに高校時代から片思いをしている。
「天気がよければ会いに行きます」感想〜3つの教訓〜
以下、ネタバレを含みます。ご注意ください。
雪が降り積もるように、静かに静かに、ゆっくりと事実が明かされていくドラマ。
故に最後まで見て、ネタバレ箇所も含めないとどうしても感想が言えない。
田舎に戻ってきたヘウォン。
いつもサングラスをかけている叔母。
どこか家族によそよそしいウンソプ。
過剰にウンソプを心配する母親。
奇妙なところがたくさんあるのに、それらの謎は小出しにされたまま、
読書をしたり、ヘウォンとウンソプの恋のやりとりがあったり温かな場面が挟まれるこのドラマ。
癒されるような時間の流れと、どう考えても辛い過去。
ヘウォンの母親が父親を殺して、自分は田舎に引き取られ、ひっそりと生きようとしていたのに、
心を許した親友にうっかりそれを漏らされて壮絶ないじめが始まったこと。
その当初、あまりウンソプと関わりのなかったことにはウンソプにも事情があったこと。
ウンソプの家族はいつも賑やかで、温かそうだなと思っていたヘウォンだが、
いつもウンソプはどこか家族によそよそしい。
裏山に詳しく、誰かが遭難すると捜索に駆り出されるウンソプに、過剰なまでに心配を繰り返す母親。
どこか謎が含まれている。
そうしたことは、最後までじっくり観ないとわからない。
おばさんが常にサングラスをしているのも不審でしかないが、その理由は中盤過ぎるまで明かされることがない。
ヘウォンが転校してきた理由すら小出しに明かされていく。
全てが、まるで静かに雪が降り積もっていくように、少しずつ事実が重ねられていくのだ。
そうした事実を一つずつページをめくっていくように、視聴者も見て行く。
そうして、全ての事実を知った時に、いろんなことが腑に落ちる。
事実を知れば、いろんな気掛かりな態度も、なるほどね、と思うことができ、
私たちがその事実を知った後には、登場人物たちもそれをスッと受け入れていく。
劇的な展開や、二転三転するストーリー展開はない。
心がヤキモキとするような慌ただしさもない。
総じて静かでありながら、周りの登場人物が優しく、微笑ましい。
特に、ウンソプの妹であるイム・フィとウンソプの友人であるジャンウ。
彼らの底抜けの明るさが、この物語の最大の癒しだと私は思っている。
フィは、ウンソプが実の兄でないと知っているのか知っていないのか、初めのうちはそれがわからない。
ウンソプに真っ直ぐに甘えてきて、母親に「なんでウンソプばっかり可愛がるのよ!!!」と怒鳴り散らす。
でも、その様子はなんらひねくれた様子もなく、周りに屈託なく接する。
そして、ウンソプが本当にいなくなりそうになった時、彼女は
心から怒りを露わにする。
その様子全てが愛おしい。
ジャンウもまた癒し要素が満開の天然青年である。
市役所に勤めて、周り・ウンソプやヘウォンにお節介を焼きながら、
自分の恋についてはめっぽう奥手。
ちょっと間抜けなところまで憎めずに可愛くて癒される。
彼らが行う読書会も、すごく良い会で、ああ、こんな読書会が近くであれば良いのにな、と
思わずにいられない。
ゆっくり過ぎていく時間に、たまに焦れることもあるのだが、
最後まで見た時にああ、良いドラマだったなと思える。
ずっと冷たい、変な家族だと思っていた自分の家族。
ウンソプのところは、みんながわいわいと明るく、お母さんはウンソプを心から心配していて
暖かく羨ましいと思っていたヘウォン。
けれども、自分の家族もまた、互いを思いやり、心配し、ただ表現が下手なだけだったのだと
知るヘウォン。
みんながただ幸せになりたかっただけなのだ。
けれど、時に失敗することがある。
選択を間違って、そのせいで誰かを不幸せにしてしまうこともある。
けれども、そうして自分は守られてきたのだと知ったへウォンが今度は誰かを
幸せにしたいと思った時。
みんな、それぞれ誰かを優しく包み込んで幸せになっていきたいと思える、
そんなドラマだった。
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ドラマ内で「カシコギ」の一説を読み上げるシーンがあった。
「カシコギ」は私が学生時代に初めて読んだ韓国小説である。
まだ韓国ドラマにもハマる前だった。
おいおい泣いた。子どもができた今読んだら、もっと泣きそうで怖いが、大変オススメの本である。
パク・ミニョンといえば、なんとなくこれまで「仕事ができる風」の都会的なフェミニンなファッションのイメージが強かったのだが、
今作「天気がよければ会いにゆきます」では、雪山や雪の風景に合うようなカジュアルなファッションや着膨れした温かそうなファッションが目立った。
そして、それがまた可愛いのだ。
重ね着重ね着の厚着をしたパクミニョンや、ニット帽を被った彼女。
ウンソプが雪山は危ないからと、登山用のブーツをプレゼントしたり…。
そうしたファッションを見るのも楽しみの一つだった。