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青山美智子「月の立つ林で」あらすじ・概要
タイトル | 月の立つ林で |
作者 | 青山美智子 |
出版社 | ポプラ社 |
ペーパークラフト制作 | 紙成鳴美 |
写真 | masaco |
装丁 | 岡本歌織 (next door design) |
ページ数 | 全260ページ(本編) |
発行 | 2022年11月7日初版 |
アラフォーの元看護婦、売れない芸人、娘の結婚・出産に戸惑う父、シングルマザーの母親から
自立を願う女子高生、ワイヤーアクセサリー作家。
それぞれ別個の話であり、繋がりのない彼らの繋がっている連作短編。
青山美智子「月の立つ林で」〜やさしくゆるく繋がる世界〜
青山美智子さん、始めて読む作家さんだった。
話題になっているのは知っていた。
「赤と青のエスキース」など本屋大賞にノミネートされていて、
近年注目の作家さんだ。
が、どんな話であるかは知らず、事前情報のないままに読んだ。
形は連作短編。
この「連作」のさせ方が小憎い感じのシャレ感であった。
ハハーンと一人で納得。
ポイントは「月」と「竹」そして、ポッドキャストから流れる『ツキない話』
ポッドキャストの素人の番組、というのが何とも今風で洒落っけがある。
その『ツキない話』の中の月の蘊蓄であったり、
「タケトリのオキナ」が話す「竹の話」であったり。
「竹林は実は土の中でみんな繋がっている」なんて話は
見えないところでみんな繋がっている、という話にとれて
連作短編にになんだか洒落た感じをもたらす。
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装丁が写真では伝わりにくいが、表面が凸凹したやつ。
小さい頃とかに、薄い紙で上から鉛筆で擦って絵柄を写し取ったりしたのは
私だけだろうか。
あんな感じの作りになっている。
一人一人は繋がっていないようで、読者だけがわかる
「ああ、繋がっているんだ」というメッセージ。
人のために役に立ちたいと、ずっとそう思っていたけれど、「人」とは
いったい誰のことなんだろう。
こんな始まりも全てが繋がっているのだ。
人の役に立ちたいけれど…と悩む元看護師の話に始まり、
人は意図せず誰かの役に立ったり、誰かを励ましたりしていることがある、という
ストーリーにほんのりと温かい気持ちにさせられる。
ほんのり、やさしく、私も誰かの希望になれるだろうか。
なりたい、と願うそんな読後感。