直木賞作家✖️YOASOBIコラボ「はじめての」概要・あらすじ
タイトル | はじめての |
出版社 | 水鈴社(すいりんしゃ) |
著者 | 島本理生、辻村深月、宮部みゆき、森絵都 |
ジャンル | アンソロジー |
出版年 | 2022年 |
ブックデザイン | 鈴木成一デザイン室 |
ページ数 | 全220ページ |
「私だけの所有者」島本理生✖️「ミスター」YOASOBI
アンドロイドの「僕」が「先生」に宛てた手紙という形式の物語。
「はじめて恋をしたときに読む物語」と題して。
島本理生さんのファンタジーというのは珍しくて興味津々。
「ユーレイ」辻村深月✖️「海のまにまに」YOASOBI
「はじめて家出したときに読む物語」
家出をした少女が海で、ある少女と出会う。
「色違いのトランプ」宮部みゆき✖️「セブンティーン」YOASOBI
「はじめて容疑者になったときに読む物語」
全く同じ姿形のもう一つの世界・鏡界。
反抗的になった娘・夏穂が、もう一つの鏡界ではテログループに関わっており、身柄を確保された…
「ヒカリノタネ」森絵都✖️「好きだ」YOASOBI
小学1年生から椎太に片思いしている高校生の由舞。
4回目の告白を成功するために、過去の告白を「回収」しにタイムトラベルをする。
直木賞作家✖️YOASOBIコラボ「はじめての」感想
以下、ネタバレの可能性があります。
曲が順次発売されていくようで、宮部みゆきさんとのコラボ楽曲「セブンティーン」はまだ配信されていない模様。(2023年2月現在)
しかしながら、島本理生さん・辻村深月さん・森絵都さんのコラボ楽曲についても、聴かずに読んだ。
YOASOBIの楽曲は好きなのだが、まずは小説として楽しんでみたかった。
「はじめて○○したときに読む物語」という共通テーマは良いな、と思い楽しみにして臨んだ。
「はじめて人を好きになったときに読む物語」
島本理生さんの恋愛小説。彼女が描く感情の揺れ・細やかな描写が大好きなので、
期待しなかない。
島本理生さんのSF設定?これもまた珍しくて、ワクワクしながら読んだ…のだが、
途中まで、全てに対してSFという縛りがあることに気が付かず、
オロロ?オロロ?と思っているうちに、なんだか物語が頭に入ってこなかった。
結果、3作目の宮部みゆきさんでやっと、
「ああ〜全員SFで書くという縛りがあるのか〜」と気が付く。
始めに心構えができていたなら…と少し残念に思う。
個人的には森絵都さんの「ヒカリノタネ」が一番好きだった。
こちらのSF設定は「タイムトラベル」。
タイムトラベルといえば、いろんなところで盛り込まれており、もはやこちらも把握しやすい、
飲み込みやすい。
辻村深月さんの「ユーレイ」もこちらの頭にある程度想像がつくために物語が入ってきやすかった。
どうしても、アンドロイドや鏡界と新しい設定となるとその仕組みを理解することに気を取られて物語が
頭に入ってこないという私の科学苦手な頭の残念さ。
設定自体はすごく面白いのに、自分の科学の免疫なさが不甲斐ない。
「ヒカリノタネ」は「はじめて告白するときに読む物語」とあって、
高校生の恋愛もの。爽やかなことこの上ない。
軽妙な会話のやり取りも、4回目の告白のために過去の「告白の回収」という設定も
わかりやすくて良き。
また、主人公のキャラクターも主人公が好きになる男の子のキャラクターやエピソードもどれも
初々しくて可愛くて、大変好みである。
告白の回収を横で見ていたら「私、観察者やめようかな」と感化されちゃうところまで
良き、良き。
「はじめての」という設定の私が期待していた爽やかさが全部、詰まった感じ。
一緒にいた友人がずっと「私は観察者でいいよ」と言っていたのに、
「はじめての」という言葉に何を求めるかは人それぞれであるので、
これは完全に私の好みである。
YOASOBIコラボ楽曲を聴いた感想
これも完全に個人的な好みだけれど、「ヒカリノタネ」の「好きだ」が一番好き。
ポップで明るくて、爽やかで、物語にピッタリ。
それでいうと、他の二曲も物語にピッタリである。
「ミスター」は物語に合う感じに不穏な空気感。
「海のまにまに」は夜の海にピッタリな感じ。
物語を聴きながら読むもよし、読む前に聴いてもネタバレはなくむしろ世界観を始めに
理解できていて良いかもしれない。
全部読み終わってから聴いても理解しきれなかった世界観が心にスッと取り込める気がする。
「はじめての」出版社・水鈴社(すいりんしゃ)について
「水鈴社」?初めて見る出版社だな、と思って調べてみた。
会社名 | 水鈴社(すいりんしゃ) |
代表 | 篠原一朗 |
設立 | 2020年 |
まだ設立三年目で、五冊しか出版されていない会社だった。
そんな会社に大御所が!と思ったら、この代表の篠原さんがどうやらすごい人らしい。
幻冬舎、文藝春秋時代に数々のヒット作に関わってきたそうな。
野田洋次郎(RADWIMPS) | 「ラリルレ論」(文藝春秋) |
尾崎世界観(クリープハイプ) | 「祐介」(文藝春秋) |
藤崎沙織(SEKAINOOWARI) | 「ふたご」(文藝春秋) |
宮下奈都 | 「羊と鋼の森」(文藝春秋) |
瀬尾まいこ | そして、バトンは渡された(文藝春秋) |
おお、知ってる…というものばかり。
「水鈴社」の他のラインナップも面白そうだったので、ぜひ読んでみたい。
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