西加奈子/「夜が明ける」あらすじ
タイトル | 夜が明ける |
作者 | 西加奈子 |
出版社 | 新潮社 |
挿画 | 西加奈子 |
挿画撮影 | 山崎智世 |
ブックデザイン | 鈴木成一デザイン室 |
ページ数 | 407ページ |
発行年 | 2021年 |
「夜が明ける」あらすじ
「俺」と「アキ」は高校生の時に出会った。「アキ」は特異な風貌をしていたが、
映画好きの「俺」にフィンランド映画に出てくる「アキ・マケライネンに似ている」と言われ、
以来、二人は親友として時を過ごす。
高校卒業後は、アキは劇団員として、「俺」はアルバイトの傍ら大学に通う苦学生として、過ごす。
二人は直面する。貧困、虐待、過重労働…社会の闇の部分に。
「夜が明ける」感想
こうした「貧困」の物語を読む時。
私はどうしても「他人事」に思えず、焦りで苦しくなる。
今、飢えているわけでもなく、不自由に暮らしている身なのだから、
できることなら、こうした現実を知り、「助ける」側に回るべきかもしれないが、
この作品を読むと、やはり「当事者」であるべきように思う。
痛みを感じる側に。人ごとでなく「自分自身の物語」であるように思う。
そう感じさせるべき作りになっているように思う。
だからこそ、「青春時代」から描かれているのではないだろうか。
「何があってもきっと大丈夫」と思えていた、
あの全知全能感に溢れていた「青春時代」。
主人公の「俺」が活力に溢れ、多少の貧乏も何とも思っていなかったというのは、
私にも経験がある。
その時、「保証」や「保険」が自分にとってどれほど意味のあるものかを考えていなかった。
その時代を知っているからこそ、
私はヒヤリとする。
もしかしたら、これは自分かもしれない、と思うのだ。
今も、一つ間違えれば明日は我が身のような気がしている。
きっと、そうだ。
みんな、明日は我が身なのだ。
有り余るほどの資産家でない限り、明日は我が身なのだ。
だからこそ、この物語の言葉たちを覚えておかなくちゃいけない。
助けてもらうことは恥じゃないし、
助けを求めている人を一律に非難すべきではない、ことを。
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