これは、ウンジュンとサンヨンという二人の少女の物語だ。
ごく、ありふれていて、けれどどこにもない。
その感情はみんな知っているし、それはいつもどこにもあると思っていた。
けれど、こんな個人の重く複雑な感情を一つ一つ丁寧に描くと、こんなにも壮大になるんだ、という感動を呼び起こす
ドラマだ。
キャスト&相関図を紹介しつつ感想を綴ります。

韓国ドラマ「ウンジュンとサンヨン」あらすじ 予告 全何話?
ウンジュン(キム・ゴウン)とサンヨン(パク・ジヒョン)は小学生の時に出会った。
裕福で勉強もできるサンヨン。
ウンジュンは彼女に対して憧れ、妬ましくも思った。
けれど、ウンジュンには明るく愛情を注いでくれる母親がいた。
根っからの素直な性格でウンジュンは誰にでも好かれた。
そんなウンジュンに、サンヨンもまた憧れ、妬みもあった。
二人はその人生を通して、別れと再会を繰り返し、憧れと妬みの感情を深く深くしていくことになる…。
タイトル | 「ウンジュンとサンヨン」 |
監督 | チョ・ヨンミン(「愛と、利と」「ブラームスは好きですか」ほか) |
脚本 | ソン・ヘジン(「空から降る一億の星」ほか) |
話数 | 全15話 |
キャスト | キム・ゴウン、パク・ジヒョン、キム・ゴヌほか |
Netflix「ウンジュンとサンヨン」相関図
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韓国ドラマ「ウンジュンとサンヨン」キャスト&登場人物
リュ・ウンジュン/キム・ゴウン/ト・ヨンソ(10代)

素直でまっすぐで心優しく誰からも好かれる。
自分は平凡だと思って、サンヨン(パク・ジヒョン)を妬ましく思う気持ちもあるが、
人を寄せ付けず、孤独になりがちなサンヨンを放っておくことができない。
43歳の現在、ドラマの脚本家をしている。
【キム・ゴウンその他出演作品】「トッケビ」「ザ・キング〜永遠の君主」「シスターズ」「ユミの細胞たち」「破墓」ほか

10代のウンジュンを演じるト・ヨンソちゃん。
チョン・サンヨン/パク・ジヒョン/パク・ソギョン(10代)

ウンジュン(キム・ゴウン)の小学校に転入してきた。
裕福な家庭で育つ。
プライドが高く、人に甘えることが苦手。
母親とそりが合わない。兄が一人。
43歳の現在、映画会社ツバメの代表をしており、「成功者」となっている。
【パク・ジヒョンその他出演作品】「ブラームスは好きですか」「ユミの細胞たち」「財閥家の末息子」ほか

10代のサンヨンを演じるパク・ソギョンチャン
チャン・スニョン/チャン・ヘジン

ウンジュン(キム・ゴウン)の母。
夫を亡くし、女手一つでウンジュンと弟を育て上げる。
牛乳配達、すいとん屋など苦労を重ね上げながらも徐々に生活を整えて安定させていく。
明るく愛情深い。
【チャン・ヘジンその他出演作品】「パラサイト〜半地下の家族」「愛の不時着」「グリーンマザーズクラブ」「あなたに似た人」「赤い袖先」「ドクタースランプ」「おつかれさま」ほか
ユン・ヒョンスク/ソ・ジョンヨン

サンヨン(パク・ジヒョン)の母。
ウンジュン(キム・ゴウン/ト・ヨンソ)の小学校時代の教師でもある。
父親のいないウンジュンを気にかけ、声をかけてあげたことからウンジュンにとっては恩師となる。
サンヨンには反発されてばかりで戸惑っている。
【ソ・ジョンヨンその他出演作品】「太陽の末裔」「わかっていても」「ブラームスは好きですか」「あなたに似た人」「その年、私たちは」「グリーンマザーズクラブ」「車輪」「愛と、利と」「財閥家の末息子」「無人島のディーバ」「マイデーモン」「私たちの映画」「TRY〜僕たちは奇跡になる」ほか
チェPD/チュ・ミンギョン

ウンジュン(キム・ゴウン)の仕事相手。
【チュ・ミンギュンその他出演作品】「よく奢ってくれる綺麗なお姉さん」「智異山」「グリーンマザーズクラブ」「ヒップタッチの女王」「トランク」「損するのは嫌だから」ほか
チェ・サンハク/キム・ジェウォン/ムン・ウジン(少年時代)

サンヨン(パク・ジヒョン/パク・ソギョン)の兄。
写真を撮るのが趣味。ウンジュン(パク・ゴウン/ト・ソヨン)の初恋相手。
【キム・ジェウォンその他出演作品】「ヒエラルキー」「キング・ザ・ランド」ほか

サンハクの少年時代を演じたムン・ウジンくん。
【ムン・ウジンその他出演作品】「無人島のディーバ」「ヒーローではないけれど」ほか
キム・サンハク/キム・ゴヌ

ウンジュン(キム・ゴウン)の大学時代の恋人。
写真サークルの先輩。
まっすぐで優しい。
のちに撮影監督となる。
【キム・ゴヌその他出演作品】「ザ・グローリー」ほか
ディラン(ムン・ジヨン)/キム・ヘイン

サンハク(キム・ジェウォン)の元恋人と思われる人物。
【キム・ヘインその他出演作品】「賢い医師生活1・2」「いつかは賢い医師生活」ほか
キョン・スンジュ/イ・サンユン

映画監督。サンヨン(パク・ジヒョン)の能力を買って指名し、割り込ませてきた。
人当たりもよく大人で、理解力もある。
素直ではないサンヨンを理解し、興味を示し、諭したり話したりする人物。
オ・ヒジン/コン・ミンジョン

ウンジュン(キム・ゴウン)が務める映画会社JDの先輩PD。
ウンジュンの良き理解者であり、話し相手。
【コ・ミンジョンその他出演作品】「海街チャチャチャ」「シスターズ」「今日もあなたに太陽を」「私の夫と結婚して」ほか
ソン・ユチャン/エン(VIXX)(チャ・ハギョン)

ウンジュン(キム・ゴウン)の同僚。
ウンジュンに想いを寄せる。
【チャ・ハギョンその他出演作品】「mine」「無人島のディーバ」ほか
Netflix「ウンジュンとサンヨン」感想〜重く複雑な題材だが、それゆえに心に響く作品
古今東西、女の友情、いや嫉妬?を描いた作品はたくさんある。
あらすじだけを聞けば、一見どれも似たようなものに見えがちだが、
共通しているように見えて、しかし、個々にそれぞれの問題、個性、複雑さを絡ませていることが
よくわかる。
「ウンジュンとサンヨン」は二人の友情と言っていいのだろうか。
まず、二人は反発から入っているようにも見える。
けれど、近づき離れがたく、執着していく。
この感情は女性同士なら一度は経験したことがあるのではないだろうか。
普遍的なテーマで、「わかる」感情であると言える。
でも、この作品では「わかる」感情を事細かに、丁寧に描いている。
それゆえに、「わかる」テーマであっても一人も置いてきぼりにならないように、「共感」へと持っていく。
「ウンジュンとサンヨン」の物語は、とても個人的な感情で、二人の物語に見える。
具体的すぎて、実話だろうか、と思ったほど。
サンヨンがやがて「執着」へと変貌していく姿は、非常に生々しい。
二人がこうなることは「必然なのだ」と感じさせる。
サンヨンについて
サンヨンは金銭的には非常に裕福な家庭で育ち、本人の能力も高く、恵まれた状態でウンジュンとであう。
しかし、何より恵まれなかったのは、生まれ持った彼女自身のプライドの高さであり、
彼女自身の性格だったのだろう。
もし、ウンジュンのように素直な性格だったら…そう思って、サンヨンはウンジュンに憧れたのだろう。
大学時代、サンヨンがサンハクを好きになったのは必然だった。
サンハクによって彼女は生かされたのだから。
けれど、のちの社会人になってからのサンハクへの想いは、ウンジュンのことをまだ好きであるというサンハクによって
ひねくれた感情になっていたとしか言いようがない。
あの時、サンハクがもうウンジュンを好きではなく、別の人を想っていたらあんな感情にはならなかったのではないか。
大学時代からの必死の苦労と順風満帆なウンジュンとの対比。
どこででも愛されるウンジュン。
ひねくれた女性を演じたらピカイチだなパク・ジヒョンさん。
ウンジュンについて
「誰からも愛される」というのは天性のものか。それとも母親との関係によるものか。
自分のことを「平凡」だと言って落ち込むウンジュンだが、一言一言に彼女の聡明さが出ている。
大学時代のサンハクとのやりとりも、ウンジュンが非常に聡明な女性であることが伺える。
感情的ではあるが、核心をついた一言一句。サンハクがその後、ウンジュンを忘れられなかったことも頷ける。
思いやりがあって、誰かのためにさっと行動ができる。
どんなにサンヨンを憎らしく思っても、決して非道にはなりきれないウンジュン。
そんなウンジュンだからこそ、サンヨンは「敵わない」と思い、愛して、憎らしくて、妬ましく思ってしまう。
愛情深さをもつ、強くて逞しい女性がよく似合う、キム・ゴウンちゃん。
最後、サンヨンを看取ることも含めて、なんと強い女性だろう、と思う。
Wサンハクについて
ウンジュンの初恋相手、サンハク。彼を演じるのがキム・ジェウォンであることの完璧さについて。
彼のミステリアスさ、聡明さ。こんな初恋相手がいたら、そりゃあ忘れられないだろうよ、と思わせるこの完璧さ!
そして…のちにウンジュンとサンヨンが取り合う?ことになるサンハク(キム・ゴヌ)について。
え?なんでキム・ゴヌ〜?と初めは思っていた。
なんせ「ザ・グローリー」のチャラチャラした男を演じていた彼だし。
いやいや、そんな美女二人が惚れるほどイケメンちゃうで(失礼すぎる)とも思っていた。
しかし、彼とサンハク(兄)の繋がりが明かされていくごとに、二人が好きになってしまう必然性が見えてくる。
ムーニーと仲が良かったサンハクは存分に影響も、共通点も持っていたのだろう。
同じ名前だから、だけではない、ムーニー(サンハク)に通じるもの。
そして、彼自身が持つ強さと温かさは社会人になってから見えてくる。
学生時代は、優しすぎるやろ…暑苦しいがな…と思っていたが、
社会人になってから見える彼の人間性の素晴らしさ。
愛情深くて、人から信頼される人間性はウンジュンと共通している。
もし、学生時代にウンジュンと別れずにいたら。
もし、サンヨンがサンハクに口止めしていなかったら、ウンジュンにきっと包み隠さず話して、二人に溝なんてできなかっただろうに。
サンハクのことで、少しでも優越感に浸りたい、というサンヨンの心理からすれば、あれは必然だったのだけれど。
サンハクは、ただただサンヨンを放って置けなかったんだろう。
「揺れた」と表現したのは若さゆえ?
サンハクとウンジュンはあれから友情を育んだだろうか。
もう、愛情を育てることはできなかったんだろうか。
やっぱり、それを考えるとサンヨンが憎い。
けれど、サンヨンの感情も理解できる。
もし、どこかでサンヨンが「甘える」ということができていたら、
3人で友情を育むことができたのに、とも思う。
ウンジュンとサンヨン それは普遍的で、個人的な物語
劇中で、ウンジュンが言っていたように、感情の描写があるからこそ、「共感」ができて
より深く心に残る作品となる。
この作品で、ウンジュンとサンヨンそれぞれの細かな心理描写があることで、
すごく個人的な話にも関わらず普遍的な物語になっていると思う。
サンヨンを憎らしく思いながらも、やはり彼女の人生は哀しくて、憎みきれずにいる。その感情は
ウンジュンのものであり、自分自身のものでもある。
誰もが、そんな感情になる瞬間、なる相手がいるのではないだろうか。