Netflixオリジナルドラマの「終末のフール」
こちらは2009年に発売された伊坂幸太郎の同タイトルの小説が原作とのこと。
ただ、見始めるとなんだか記憶にある原作小説とは違う気が…
感想と、キャスト・相関図などを紹介します。
Netflixドラマ「終末のフール」あらすじ・概要
地球に小惑星が衝突する。衝突を避けることができないと分かってから人々は、
安全な場所を求めて逃げるもの、お金をかき集めなんとかして脱出しようとするもの、
もう終わりだからと犯罪が横行するものなどが溢れ、街は荒れ果てていた。
そんな中、中学教師だったチンセギョンは、子どもたちを守ろうと必死だった。
タイトル | 終末のフール |
配信 | Netflix |
原作 | 伊坂幸太郎「終末のフール」 |
キャスト | アンウンジン、ユ・アイン、チョン・ソンウほか |
話数 | 全12話 |
Netflixドラマ「終末のフール」キャストex・相関図・登場人物
登場人物紹介にネタバレを含む可能性があります。ご注意ください。
チン・セギョン/アンウンジン
元中学校教師。小惑星の衝突が避けられなくなり、学校は閉鎖。現在は、
ウンチョン市のボランティア職員をしている。
子供達からの信頼が厚く、また子ども達への愛情が深い。ある事件をきっかけに、自身の
責務への問いかけ、後悔を抱えるようになる。
【アン・ウンジンその他出演作品】「キングダム」「賢い医師生活1・2」「良くも悪くもだって母親」ほか
「賢い医師生活」で好きになったアンウンジンちゃん。コミカルで可愛い印象の強かった彼女だけれど、
今回は芯の強い女性のイメージが前面に押し出されている印象。
ハ・ユンサン/ユアイン
科学者としてアメリカのラボで働いていた。
セギョンの幼馴染であり、恋人。そして婚約者。
恋人を「まっすぐで優しい人」と思い、寄り添い、生きてきたが、
韓国に戻ってきてから彼女に再会し、彼女の変化に気がつき戸惑う。
【ユ・アインその他出演作品】「太陽の末裔」カメオ、「トキメキ成均館スキャンダル」ほか
ほぼ初めましてな、ユアインさん。今作発表の前に薬物使用疑惑で逮捕されたらしく、とにかく番組の宣伝にも
お顔が見られなかった彼。ドラマも再編集されて、おそらく出番は大幅にカットされたよう。
彼の薬物使用は残念だが、ドラマ内の彼は良かった。苦悩や葛藤が表れた悩ましい表情。セギョンに戸惑いながらも、
誠実であろうとする姿。ただ、薬物疑惑と知ると、なんだか病的な表情にも見えてしまうのが惜しいところ。
ウ・ソンジェ/チョンソンウ
セギョンやユンサンの幼馴染で、新婦見習いとして教会の仕事に従事していたが、
神父の失踪により、神父として過ごすことになる。
自信がないながらも、信者と向き合い、終末までの日々を過ごしている。
【チョンソンウその他出演作品】「サバイバー」ほか
チョンソンウさんも初めましてだったけれど、この人の雰囲気好き。軽快な様子を見せながら、実は
内面に葛藤を抱えていそうな顔…とでも言おうか。こういう表情の方、というか一重瞼?笑が好きなのかも。
カン・イナ/キムユネ
軍の特殊部隊勤務だったが、ある事件の懲戒処分で支援部隊配属となる。
正義感が強く、まっすぐ。自分以上に正義感の強いセギョンに戸惑い心配しながら、
彼女を援護する。
母親と折り合いが悪い。
【キムユネさんその他出演作品】「ヴィンチェンツォ」ほか
ヴィンチェンツォでは、怪しげなというか、謎めいたピアノ講師をしていたキムユネさん。
今作では髪をバッサリと切り、軍服に身を包んだ凛々しい空気。まっすぐな瞳で、隊を率いる姿がかっこいい。
ヨ・ミリョン/キムヨジン
ウンチョン市でスーパーを営む。ソミンやジンソと同じ年の息子がいたが、ある事件で、
失ってしまう。
セギョンからはオンニと慕われている。
【キムヨジンさんその他出演作品】「ヴィンチェンツォ」「今日もあなたに太陽を」ほか
ユ・ソミン/キムボミン
セギョンの生徒。母親と従姉妹たちと暮らす。従兄弟の面倒もよく見るし、セギョンを慕い、
セギョンのこともよく聞く素直な生徒。
パク・ジンソ/キムガンフン
同上:左
セギョンの生徒の一人。父親が怪しげなカルト集団を率いており、家に毎日のように
集団が集まっており、ほとほと嫌気がさす。
【キムガンフンくんその他出演作品】「椿の花咲く頃」「ラケット少年団」「財閥家の末息子」ほか
大きくなったね!キムガンフンくん!少し声変わりもしただろうか?
今後ますます楽しみな子役さん!
チョン・ハユル/キムドヘ
同上:右
同じくセギョンの生徒の一人。
家族で海外へ逃亡しようとしていたが、失敗。利己的な父親に嫌気がさす。
父親を嫌い、反抗的な態度をとる。
キム・テハン/キムヨンウン
ミリョンの夫。スーパーとカフェを営む。息子を亡くした妻を労り、心配するが、
逃亡できないか目論む諦めの悪さも…
【キムヨンウンさんその他出演作品】「ヴィンチェンツォ」「Happiness」ほか
チョン・スグォン/パク・ヒョックォン
ハユルの父親。動画配信をしてお金を稼いでいたが、騙されてお金を失う。
なんとか逃げようと必死になって情報をかき集めている。
利己的で自分のことばかり考えている。
【パクヒョックォンさんその他出演作品】「mine」「財閥家の末息子」「ヒップタッチの女王」「いつかの君に」ほか
この人もいい人もやるし、いやーな役もやるんだよな。今回は完全に後者で。
なりたくないタイプの「フール」。
ペク・サンヒョク/カンソグ
ウンチョン市教会の神父。人々に信頼され、慕われていたが、終末が近づくある時、
忽然と姿を消してしまった。
オ・ゲヒャン/ペクジウォン
ソミンの母親で、妹の子どもたちの面倒も一緒に見ている。
子どもたちをなんとか安全なところに逃したいと願い、お金があれば…と考えるが、
情が深く面倒見もいいので、利己的ではない。
北朝鮮からの脱北者?
【ペクジウォンさんその他出演作品】「ボーイフレンド」「ウヨンウ弁護士は天才肌」ほか
キム・ボエ/キムヨンオク
教会の信者。お金持ちでウンチョン市の有力者。
息子は大統領秘書官だった。
【キムヨンオクさんその他出演作品】「キング」「海街チャチャチャ」「智異山」「キングザランド」ほか
イ・チェファン/パクジュヒ
教会のシスター。
ペク神父が失踪した後も、教会のため、信者のために懸命に働き、
ソンジェを神父として支えている。
【パクジュヒその他出演作品】「ハピネス」ほか
パク・サンウ/イシフン
ジンソの父親。株のトレーダーをしていたが、小惑星の衝突、終末が近づくにつれ、
カルト集団を率いるリーダーとなり、「世界は滅亡しない!」「騙されるな!」とデモ活動を続け、
毎日のように集団と集まっているが、実態は謎である。
チョ・グァンヒョン/ペク・ヒョンジン
元大統領秘書官。キムボエの息子。
なんとか韓国から脱出しようと躍起になっている。
【ペクヒョンジンさんその他出演作品】「ハピネス」ほか
チョ・インテ/イ・フィジョン
グァンヒョンの息子で引きこもり。ボエには懐いているが、父親のことは苦手で、
話したがらない。
引きこもって部屋で情報配信をしている。
Netflixドラマ「終末のフール」感想〜原作とは違う、が人間の深層心理を追ったドラマ
根底に流れるテーマは同じだとは思う。
原作を読んだのはもう10年以上前で、うろ覚えだが、印象としては
伊坂幸太郎の原作から受ける空気とは違う、というものである。
伊坂幸太郎の原作はどこか、もう少し皮肉を抱えていて、なんだかのんびりした空気を受けた。
そして原作はオムニバス形式だったが、このドラマではどちらかというと、
アンウンジンが演じるセギョンにスポットが当たっている。
終末を迎えるに当たって、それぞれ人間心理としてどのようになっていくのか。
それをつぶさに描いていくが、セギョンは中学校の教師として、終末を迎えるにあたり、
徐々に覚醒していったのではないだろうか。
元々、いい先生だったに違いない。まっすぐで、明るく、生徒たちにも慕われていた。
普通の女性だったはずだ。
幼馴染の恋人であり、婚約者がいて、恋人は穏やかで特別な野心はないが、有能だった。
教師として、子どもたちが毎日健やかに暮らせるよう、将来を幸せに暮らせるよう
導いてあげる、それが穏やかな教師人生の目標だったに違いない。
だが、終末が来るとわかり状況が一変した。
秩序が乱れ、自分のことばかりを考えて行動する大人が増えた。
政府も逃げ腰になり、全ての国としての制度も乱れていった。
そして事件は起きた。
子どもたちの安全な生活も、幸せな将来も何一つ保障されなくなった。
セギョンは少しずつ変わっていった。
彼女が目指したのは復讐ではない。
彼女は、ただ子どもたちに安心できる生活を送ってもらいたかったのだ。
少しの間離れていた恋人であるユンサンは始め、セギョンの変貌に驚く。
表情で、何かが違う、と感じる。隠し事にも気が付く。
おっとりとした、守ってあげるべき自分の恋人がもういない。
彼女は違う方向を見ている。
自分との将来ではない。彼女自身の信念のために動いている。
彼女を守りたいという想いと、葛藤。
終末を迎えるにあたり、人々はどうなっていくのか…。
何がなんでも脱出しようとする人。
お金に頼ったり、ツテを頼ろうとしたり…何もかもを諦めて、快楽に生きたり、
終わりだからと犯罪に手を染めたり。
骨太な空気もある中で、原作のようにただ日々の営みを愚直に続けている人々も存在する。
畑を耕し、掃除し、行事ごとの料理を作り、夜が来てみんなでご飯を食べ、朝が来る。
ただ、みんなと一緒に。
秩序が崩壊してしまった中、残された人々の残された日々のために必死に、秩序を取り戻そうとする
人たちもいる。
軍の規律を守り続け、訓練する人たち、役所の秩序を取り戻し、市の政務を執り行う人たち。
何もかもなくなってしまう中、その先の天国があると信じる教会の信者たちは、
これまでの行いを悔い改め、祈りを捧げ続ける。
それになんとか答えようと向き合う神父。
終わりが来てしまえば、全て無に帰する意味のないものなのかもしれない。
でも、最後まで。
最後まで一緒に。
最後まで。
ただ、毎日を。
笑って過ごせるように。
すごく哲学的で深い物語。
終わりが来ないように懸命に生きることはできる。
終わりが見えた時に、どう生きるか。
やがて人々は皆平等に死ぬ。次の社会のために秩序は乱さなくとも、自分の世界の終わりに、
身勝手に生きる人もいる。
でも、終わりまで。
最後まで。最後の瞬間まで。ただ、誰かのために。
そんな「フール」があってもいい。
そうありたい。
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