放送当初から、傑作の呼び声高く、
2024年の百想芸術大賞では作品賞に輝いた作品。
ずーっと気になっていて、やっと見ることができました!
噂に違わない傑作!
キャスト&相関図を紹介しつつ長い長い感想を綴ります。

韓国ドラマ「恋人〜あの日聞いた花の咲く音」あらすじ 予告 全何話?
タイトル | 「恋人〜あの日聞いた花の咲く音」 |
監督 | キム・ソンヨンほか |
脚本 | ファン・ジニョン |
ジャンル | 史劇/ラブストーリー |
話数 | 全21話(U-NEXTでは42話編成) |
キャスト | ナムグン・ミン、アン・ウンジン、イ・ダイン、 イ・ハクジュほか |
1636年、ヌングン里は首都から離れた穏やかで静な村だった。
そこに暮らす両班(リャンバン)の娘、ギルチェは夢見がちで奔放な少女。
この世界の殿方はみんな、自分に夢中になると思っていた。
ギルチェはいつも夢に見る男性が自分の運命の相手だと信じていた。それは、村の儒生であるヨンジュン(イ・ハクジュ)に違いないと
思っていた。しかし、ヨンジュンはギルチェの幼馴染であるウネ(イ・ダイン)に想いを寄せていた。
そんなある日、イ・ジャンヒョンという謎めいた男が現れる。その男は、金で両班の地位を買っただの非婚主義だの
悪い噂が絶えない男だった…。
U-NEXT「恋人〜あの日聞いた花の咲く音」相関図
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韓国ドラマ「恋人 あの日聞いた花の咲く音」キャスト&登場人物紹介
ユ・ギルチェ/アン・ウンジン

ヌングン里に暮らす両班(リャンバン)の長女。
父親は成均館の先生を務める。
奔放で周りの女性からは眉を顰められることばかりだが、本人は気にしない。
世の男性はみんな自分を好きだと思っている。
思わせぶりな態度をとることも得意で、今でいう「あざと」女子。
いつも夢に見る男性が「運命の人」だと思っている。
成均館の儒生であるナム・ヨンジュン(イ・ハクジュ)に想いをよせる。
【アン・ウンジンその他出演作品】「賢い医師生活1・2」「よくも悪くもだって母親」「終末のフール」ほか
「賢い医師生活」のミナ先生の可愛らしさと「終末のフール」での強さを併せ持ったようなキャラクターで、
すごく良かった。
はじめこそ世間知らずのお嬢様でキャピキャピしているけれど、戦争の中でも一番肝が据わっていて、
強くて逞しい。
その逞しさは試練を乗り越えるたびに強くなり、賢くて気高くて、尊敬に値する。
生きることこそ強さだ、と思えるかっこいい女性。
イ・ジャンヒョン/ナムグン・ミン

ある日、ヌングン里にやってきた謎の男性。
両班の地位を金で買ったとの噂や、非婚主義と吹聴して回ったりとにかく謎めいている。
しかも、真面目な儒生たちを前に、斜に構えた態度で本心が見えない。
いつも揶揄うような口調でいるが、ギルチェ(アン・ウンジン)に惹かれていく。
【ナムグン・ミンその他出演作品】「ストーブリーグ」ほか
このナムグンミン…良すぎ。
バトラーだと思うと尚更いいけれど、本気を出さない態度から始まって、
「戦争にも政治にも興味がないよ」みたいな態度から、ただただギルチェ(アン・ウンジン)を守るためだけに
戦争に巻き込まれ、やがて政情に巻き込まれ、そして実は情に厚いから困っている人たちを見捨てることができない…
実はめちゃくちゃ強い、というのも素敵すぎる。
感情を抑えた言い方や、声を荒げた時の力強さ、愛情に満ちた目線、切ない瞳、全てが良すぎる。
キョン・ウネ/イ・ダイン

ギルチェ(アン・ウンジン)の幼馴染。
両班の娘。父親は成均館の先生。
この時代においておおよそ必要な要素を全て兼ね備えた女性。
清廉で、純粋でおしとやかでまっすぐ。
ナム・ヨンジュン/イ・ハクジュ

ヌングン里の成均館の儒生。
ギルチェ(アン・ウンジン)の想い人。だが、ウネ(イ・ダイン)の恋人。
真面目で志高く、熱い信条をもつ。
【イ・ハクジュそのほか出演作品】「マイネーム」ほか
リャンウム/キム・ユヌ

ジャンヒョン(ナムグン・ミン)と行動を共にする。
朝鮮最高の歌い手と言われる。
ジャンヒョンに特別な感情を持っている。
クジャム/パク・ガンソプ

ジャンヒョン(ナムグン・ミン)と行動を共にする。
ジャンヒョンを「兄貴」と慕っている。
チョンジョンイ/パク・ジョンヨン

ギルチェ(アン・ウンジン)の侍女。
夢見がちで奔放なギルチェに呆れつつも、忠誠心が高くどこまでもギルチェについていく。
パンドゥネ/クォン・ソヒョン

ウネ(イ・ダイン)の侍女。
妊娠中。
ウネを一番のお嬢様と慕い、ウネの恋人であるヨンジュン(イ・ハクジュ)に色目を使うギルチェ(アン・ウンジン)を
疎ましく思う。
ユ・ギュヨン/オ・マンソク

ギルチェ(アン・ウンジン)の父。
ヌングン里で成均館の儒生相手に教えている。
キョン・グンジク/チョ・スンヨン

ウネ(イ・ダイン)の父。
ヌングン里でギュヨンとともに成均館の師を務める。
仁祖(インジョ)/キム・ジョンテ

朝鮮王朝第16代王様。
女真族に頭を下げた王として名を残す。
昭顕世子(ソヒョンセジャ)/キム・ムジュン

仁祖(キム・ジョンテ)の息子。世子。
女真族に戦で負けた人質として清に連れていかれる。
始めは世間知らずだったが、人質として生活するうちに民に寄り添う気持ちが芽生える。
【キム・ムジュンそのほか出演作品】「わかっていても」「ブラックペアン2」「キャスター」ほか
姜嬪(カンピン)/チョン・ヘウォン

世子嬪。世子(キム・ムジュン)の正妻。
清の人質として世子とともに清に渡る。
世子に寄り添う賢い女性。
【チョン・ヘウォンそのほか出演作品】「その年、私たちは」「還魂」「シュルプ」ほか
ク・ヤンチョン/チェ・ムソン

義州でヤクザたちを束ねる親分。
ジャンヒョン(ナムグン・ミン)も慕う。
【チェ・ムソンそのほか出演作品】「恋のスケッチ〜応答せよ1988」「刑務所のルールブック」「よくも悪くもだって母親」ほか
ピョ・オンギョム/ヤン・ヒョンミン

世子(キム・ナムジュン)に仕える宦官。
南漢山城でジャンヒョン(ナムグン・ミン)に出会い、ジャンヒョンの能力の高さを買って、
世子の通訳官にスカウトする。
何かとジャンヒョンを頼る。
【ヤン・ヒョンミンそのほか出演作品】「今日のウェブトゥーン」「タッカンジョン」ほか
チェ・ミンギョル/キム・テフン

仁祖(キム・ジョンテ)の家臣。吏曹判書。
女真族との戦いを終わらせるため清に降ることを提案。
忠実な家来だが、徐々に変貌していく王を諌めることができずに心を痛める。
【キム・テフンそのほか出演作品】「ナビレラ」「マイデーモン」「タッカンジョン」「クイーンメーカー」ほか
ホンタイジ/キム・ジュンウォン

清(後金)の第二代皇帝。明と戦いながら朝鮮に攻め入ってくる。
初代皇帝ヌルハチの第8子。
イングルダイ/チェ・ヨンウ

ホンタイジ(キム・ジュンウォン)の側近。将軍。
ジャンヒョン(ナムグン・ミン)を怪しみながらも使えるやつだと判断し、
色々と利益を得る。
【チェ・ヨンウそのほか出演作品】「刑務所のルールブック」「賢い医師生活」「静かなる海」「セレブリティ」「呑金」ほか
カックァ/イ・チョンア

清に連れていかれた捕虜たちが逃げるのを狩りをする謎の集団の長。
実は、ホンタイジ(キム・ジュンウォン)の娘で寵愛を受ける。
皇女。
【イ・チョンアそのほか出演作品】「セレブリティ」ほか
ク・ウォンム/チ・スンヒョン

朝鮮の従事官。
カンファ島でギルチェ(アン・ウンジン)と出会う。
鍛冶場をギルチェに貸し出す。
ギルチェに好意を抱き、求婚。
【チ・スンヒョンそのほか出演作品】「智異山」「カーテンコール」「君は私の春」ほか
チョン・ミョンス/カン・ギルウ

清の通訳官。
ユン・ヨンチェ/パク・ウヌ

ギルチェ(アン・ウンジン)の妹。
奔放で、他の女性陣から評判の悪い姉を恥ずかしく思うところがあるが、
実のところ姉を頼っている。
パクテ/パク・ジヌ

パンドゥネ(クォン・ソヒョン)の夫で、一緒にウネに仕えている。
頼りないが優しい使用人。
【パク・ジヌそのほか出演作品】「ストーブリーグ」「誘拐の日」「マイデーモン」「イカゲーム3」ほか
ソンチュ/チョン・ハニョン

ヌングン里で暮らす小作人。ジャンヒョン(ナムグン・ミン)の世話をする。
イラン/ナム・ギエ

ソンチュ(チョン・ハニョン)の妻。
話すことができないが、二人仲睦まじく想いあって暮らしている。
チャン・チョル/ムン・ソングン

民衆から慕われる思想家。
混乱した世の中で、王朝に対して意見を進言する。多くの儒生たちに慕われている。
【ムン・ソングンその他出演作品】「ボーイフレンド」「ムービング」ほか
昭容チョ氏/ソ・ユジン

仁祖(キム・ジョンテ)の側室。
聞こえのいいことばかりを言って王を惑わす。
以下、感想には熱くなりすぎて多分にネタバレを含んでいます。未視聴の方は注意ください。
U-NEXT「恋人 あの日聞いた花の咲く音」感想〜何度もすれ違うのも時代劇なら納得できる
ドラマといえば、昔から主人公たちは何度もすれ違ってしまう。
時代が進むに連れて、携帯電話が普及し、
そんなにすれ違ったらおかしいやろ〜と思うことも増えた。
「恋人」では何度も何度も二人はすれ違ってしまう。
けれど、それは連絡手段の問題ではなく時代的な背景や二人の性格もあって、
そこが丁寧に描かれていて、すれ違うごとに切なさが募っていくのだ。
主人公ギルチェ(アン・ウンジン)はまず、世間知らずのお嬢様。
奔放で周りから眉を顰められるような行いばかりしている。
けれど、彼女自身はまっすぐで、ヨンジュン(イ・ハクジュ)に想いを寄せている。
ところが、ヨンジュンはギルチェの幼馴染ウネ(イ・ダイン)に想いを寄せる。
真面目なヨンジュンは誰が見ても、安心安全で純粋なお嬢様ウネを結婚相手に、と心に決めているのだ。
しかし、ギルチェはそれを認めることができない。
世界中の男性が自分を好きになるはず。ヨンジュンも自分を好きに違いない!!!
ここでまず第一のすれ違いが起きる。
ある日、ヌングン里にやってきた不思議な男、ジャンヒョン(ナムグン・ミン)に心惹かれつつも
決してそれを認めようとはしない(気が付かない?)ギルチェ。
ジャンヒョンも最初は「非婚主義」だなんだと言っていたが、ギルチェに心惹かれていく自分を抑えられずに
そんな信条などいつでも捨ててやるぜぐらいのまっすぐな感情をギルチェに抱くも、
連れないギルチェに心を痛め、つい冷たい態度をとったりもする。
色々と制約のある時代だけに、互いの態度に
「そんな態度を取るなんて好きじゃないに違いない」と思ってしまったりする。
ああ、切なくもいじらしくも可愛らしい!!!
韓国版「風と共に去りぬ」〜素直になれない二人と戦争が二人を引き裂く
「風と共に去りぬ」は小説では読んだことがなく、映画だけだったのだが、
このあたりで「あ、韓国版風と共に去りぬやな」と気が付く。
お金を儲けることに長けた、ちょっといやみな男ジャンヒョンはバトラーで、
奔放で、男性の心を掴むのがうまく、しかし幼馴染に想いを寄せるギルチェはスカーレット。
ギルチェが想いを寄せる真面目で世間知らずなヨンジュンはアシュレー。対面ばかりを気にしている。
ヨンジュンの恋人、ウネはハミルトン。
自由な心のギルチェ(アン・ウンジン)はお嬢様なのだが、いざ戦争で窮地に立たされた時の
瞬発力と対応力、生きる力の強さは、やはりスカーレットを思わせる。
「生きていく」ギルチェの強さとアンウンジンの魅力
「王様を守りにいくのだ〜!!!」と言う殿方たちを、どこか芝居がかった様子で涙涙しながら送り出すギルチェ。
ギルチェはお嬢様然としているが、いざという時の判断力、行動力は、戦や困難を通して
どんどん磨きがかかっていく。
「もう歩けない」というウネやパンドゥネ、チョンジョンイを励まし、奮い立たせ、
敵兵に見つからぬように守り抜く。彼女たちが生き残れたのはギルチェのおかげの他ならない。
戦が終わっても彼女たちの苦難は続く。
ヨンジュン(イ・ハクジュ)は戦いを通して、都に登用されたのも束の間、
理想を追いかけて、投獄されてしまう。(お前、理想を語るのは立派だけど、家族のこと考えろよ)
一家を養うために立ち上がったのはギルチェだった。
その才覚たるや舌を巻く。
気が強く、頭の回転も早くて、商才もある。
はじめこそ「あざとさ」の目立つ女子だったが、いざという時にウネみたいに泣くのではなく
倒れることもなく、立ち上がる強さは、本当にかっこいい。
清に誤って捕虜として連れて行かれた時も、ギルチェは決して屈しない。
生きようとする。
朝鮮に帰ることは決して彼女にとって「幸せ」とは呼べないが、ジャンヒョンのためを
思い、朝鮮に帰り、苦難に立ち向かう。
周囲から「捕虜になった」「敵から辱めを受けた」と後ろ指を刺され続けようとも、
決してめげない強さ。
そしてジャンヒョンが戻っても泣き付かずに背筋を伸ばして、強く振る舞ういじらしさ。
これこそが、「賢い医師生活」のチュ・ミナ先生で見せた可愛さと真摯さ、「終末のフール」のセギョンで見せた強さ
なのではないだろうか。
アンウンジンが持つ魅力を存分に発揮した作品と言える。
ナムグン・ミンの独特の間の取り方、空気、台詞回しがロマンスにこんなにも響く!
「ストーブリーグ」でしかナムグン・ミンを見たことがなかったのだが、
独特な空気感で、感情を表に出さない話し方をする人だなあ〜という印象を受けた。
感情を常は抑えているゆえに、爆発させた時のこちらへの響き方が倍増する!という印象。
「恋人」におけるイ・ジャンヒョンも常では、斜に構えたような物言いをして、
人を食ったような態度をとっている。けれど、徐々にギルチェに惹かれていき、
感情を隠しながら彼女を守ろうとする姿は、こんなにも胸を打つのか!だんだん感情が表に出ていく姿も、
必死になった瞬間も、全てが見ているこちらの胸を揺さぶって揺さぶって心臓が、もはや保たなくなる。
おおう…(涙)
本当は好きなのにすぐに言葉を翻したり(お互いそんな感じ)、かと思ったらストレートに感情をぶつけたり、
余裕があるようでなかったり、視線の送り方も、涙のため方も、怒りの表し方も、なんとまあ
多彩な表情を見せてくれるのか!!!
史劇における「婉曲な愛情表現」がナムグン・ミンの独特の間の取り方で、さらにグッと胸に迫ってくる!
好きだ、好きすぎる…
さらには剣アクションも見せてくれた「恋人」。
ジャンヒョンはめっぽう強いのだ!
「避難する」とか言っていたくせに、一度剣を握れば決して負けない!
しかもムッキムキ!(笑)
ナムグン・ミンに翻弄されまくったこのドラマ。定期的に見たくなるかも。
すれ違う二人の束の間の邂逅 時代が二人を切り裂き、引き寄せる
壮大な時代劇の中で二人は何度もすれ違う。
そんな中で、何度も偶然の出会いを繰り返してはその度に想いを深めていく。
はじめこそ互いの性格のせいですれ違っていた。素直になれなかったり、相手を信じられなかったり。
けれど徐々に互いの気持ちと、自分の気持ちが明確になっていく中で、
環境すらも二人を引き裂いていく。
ジャンヒョンが清で亡くなってしまったと思い、結婚を決めたギルチェの前に現れたジャンヒョン。
しかし諦められない二人は駆け落ちをしようとするが、情の深いギルチェは家族を捨てることができない。
ましてや、ずっと認知症を患っていた父親が別れの挨拶をつげた瞬間に、
逆に正気に戻って自分の幸せを祈ってくれたら…
そんな父親を置いて、行けるわけがない。ギルチェはジャンヒョンとの別れを選ぶ。
このシーンは、泣けて泣けて…胸がいっぱいになった。
そこからジャンヒョンは清でのしがらみがさらに増えていく。
もう2度と会わないと思っていたギルチェがまさかの捕虜に。見ている側は「一体いつジャンヒョンは助けてくれるの…」と
ヤキモキしていたが、ジャンヒョンの「どうして早くギルチェを救うことができなかったのか」という自責の念に
溢れた表情を見たら、もはや言うことはない…
ここから束の間のボーナスタイムが始まる。
ジャンヒョンがまさかの清の皇女に気に入られたり、政情にどんどん巻き込まれたりと、
もうこの二人を救うことは不可能なのでは…という絶望感。
絶対に悲恋で終わるに違いないという確信。
これらが全て、最後の満足感につながっていく。
もうお腹いっぱい。
ありがとうございました。